大地震などの大災害が起こったとき、まず第一に困るのはトイレの問題。そんなときに身近に利用できるトイレがあればという思いに応える設備が、しらゆり公園に誕生した。
同公園は3年ほど前から大規模な改修工事が始まり、このたび最終計画の第3期工事として芝生広場(緑の広場)と、その周りの園路を中心とする工事が完了した。芝生広場の芝生は、現在養生中で、6月一杯くらいまでは使用できない。その中で集会所前にずらりと並んだ9個の円形スツール(腰掛け)が不思議な雰囲気を醸し出している。これは、通常1人用の腰掛けとして使用するようになっているが、いざというときには非常用トイレとなる。
そのトイレの使用法説明会が、3月9日午後、現地で開催された。説明を受けるのは「しらゆり公園愛護会」の面々と集会所のスタッフたち計21名。説明するのは横浜市環境創造局公園緑地課の担当者と、工事をした業者の方たち。
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組み立てマニュアル(クリックで拡大) |
スツール座板の下の鍵を開け、座面を持ち上げると、中にテントと組み立て用の工具などを収容した大きなビニール袋がぶら下がっており、これを引き上げる。下水道に直結するこの縦穴は、かなり深いので、作業中にものを落とさないよう細心の注意が必要だ。その穴の直径はそれほど大きくはないので、人が落ち込む心配はないだろう。ただ、小さな幼児などには注意が必要と思われる。
テントは大型のこうもり傘のようなもので、それを広げてスツールの上を覆えば、1人用のトイレットルームとなる。出入り口はチャックで開閉するようになっている。非常に軽く、簡単に風で飛ばされてしまうので、地面に固定するような鉄の棒(ペグ)も入っている。これを地面に差し込めば固定されるが、その地面が舗装されていたりしてペグを差し込むことが困難な場合は、土嚢として使える袋が入っているので、これに土を入れて固定用の重しとする。
トイレとして使用するためには便座にネジ止めされているスツールの座板を取り外す。これらの取り外しや固定用には2つのサイズの六角レンチが入っていて、それを使うのだが、ちょっと特殊な形状のネジで、注意して作業をしないと、後で収納するときに戸惑うことがありそうだ。下水管に直結といっても、管の真上ではなく、地下で直角に曲がって道路下にある下水管につながっているので、使用後の固形物は水で流す必要がある。その水を運ぶためのバケツはそこには常備されていないので、別に用意しなければならない。また、水については水道が使えない場合は、すぐそばにプールがあるのでそれを利用するということになる。
参加者のうちで何人かは実際にその組み立て作業を行って、貴重な経験をすることができた。なお、いざというときこれを利用するための鍵の保管は、集会所のスタッフと、公園愛護会の事務局が行うことになった。
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