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地域防災セミナー「災害に強くなる知恵と技」 第10回-1 講座 |
避難所生活における震災関連死の発生と予防 |
東日本大震災で、発災後1か月で63%が発生、劣悪避難環境で39% |
この講座の一つの講演「避難所生活における震災関連死の発生と予防」が神戸協同病院院長の上田耕蔵氏により行われた。 震災後の住民の健康状況と医療介護支援は、時間の経過とともに大きく変化する。災害サイクルと呼んでいる。超急性期(2時間まで、救助が来るまで)、急性期(72時間まで)、亜急性期(2,3週間後まで)、慢性期(数か月後まで)、復興期〜平穏期(数年にわたる)。東日本大震災の急性期では、絶対的支援不足の中での救出救助・救急医療が行われ、長期間ライフライン停止と物資不足により、過酷な避難環境が1週間以上続いた。その結果、最初の1週間で、震災関連死は全体の26%が発生した。 亜急性期では、支援は届きつつも、劣悪な避難環境下で救急患者増加。発災後1か月で全体の63%を占めるに至った。病弱老人や要介護高齢者は、衰弱したり病気になり、1〜2週間で「脱落」されてしまう。 慢性期では、2〜3か月で25%、4〜6か月で9%発生した。ある程度、落ち着いた段階で地元医院再開へ。ただし急性期を乗り切った高齢者が弱る段階。保健福祉、心のケアが、また廃用症候群の予防が必要。 死亡に至る要因としては、劣悪避難環境39%、病院機能停止26%、地震・津波ストレス21%、集団移動でなど。災害サイクル時期で対策は変わり、急性期、亜急性期には優先順位付けが必要で、在宅等への支援投入時期の判断は重要。 復興庁報告では、岩手県・宮城県における震災関連死の発生場所は、自宅・知人・親戚宅46%、避難所18%、病院16%、介護施設棟13%となっていることから、大災害時には、避難所だけでなく、病院、施設、在宅の高齢者・障害者をフォローする必要がある。対策として、避難環境の改善、病院機能の維持、移動の回避や移動時の疲労軽減が考えられる。 避難生活のリスク減少には、@感染症対策(清潔な水とトイレ、インフルエンザ・急性胃腸炎対策)、A基本的生活環境の維持(食料、毛布、空調、上履き、虚弱者用専用トイレなど)、B震災ストレス軽減(安否確認、休息睡眠時間確保、救護班、情報伝達、見守りなど)、C廃用症候群対策(定期的体操、在宅介護サービスの早期再開) 避難所の役割として、@物資の受取り、整理、配布、A水とトイレの管理、手洗い、B上履きへの履き替え、清掃、C1日スケジュール管理、D炊き出しの管理、Eボランティアの連携、F情報提供、G避難住民の名簿作りと班組織、H自宅避難者の連絡支援、を挙げた。 |